❶ 守秘義務の徹底
(1)守秘義務とは
派遣先の会社には、第三者に知られたくない秘密情報があります。会社に勤務する際には、様々な企業秘密に接触する可能性がありますが、派遣社員は、派遣元の就業規則に基づき、就業中に知り得た情報について秘密を守る義務があります。守秘義務が課せられた情報は、家族や友人などを含め、第三者に漏らすことはできません。秘密情報は、派遣先の会社が厳重に保護していますが、紙や電子ファイルなど目に見えるもののほか、聞いた情報など目に見えないものも含まれます。業務で使用する資料やデータも守秘義務の対象になりますので、十分注意することが必要です。
具体的な守るべき秘密情報とは、例えば、以下のような情報です。
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守るべき秘密情報
- ❶ 企業情報(人事、組織、技術、開発情報、取引先名、売上、売掛金、取引状況等)
- ❷ 営業情報(営業戦略・戦術、新商品、M&A等営業上の戦略情報等)
- ❸ 個人情報(特定の個人を識別できる情報:氏名、自宅住所、電話番号、学歴、職歴、既婚・未婚等)
- ❹ 企業の取引先情報(企業情報、営業情報、個人情報)
- ❺ 他の派遣社員の個人情報
- ❻ 派遣会社の情報(企業情報、営業情報、個人情報)

(2)秘密情報の取扱い
これらの秘密情報の取扱いは、必ず会社の規定や手順に従わなければなりません。秘密情報には、許可を受けて業務の範囲内でアクセスするもので、私的に興味本位で閲覧したりすることは許されません。与えられたIDやパスワードは厳重に管理する必要がありますし、書面上の情報は、鍵の付いたキャビネットや机の引き出しなど適切に保管し、パソコン内に保存する場合は、パスワードで保護することも必要です。こうした情報をコピーしたり、外部に持ち出す場合も許可が必要になります。修正したり、廃棄したりする場合も同様です。個人パソコンの持ち込み、USB等の記憶媒体の持ち込みも会社の規定に従ってください。
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秘密情報取扱いの原則
- ❶ 情報は、会社の規定や手順に定められた範囲内で利用する。私的利用は禁止。
- ❷ 情報は適正に保管する。ID、パスワードは厳重に管理。
- ❸ 情報のコピー、加工、修正、持ち出しは、許可を得て行う。
- ❹ 情報は、適正な方法で破棄。
- ❺ 個人パソコンやUSB等の記憶媒体は、原則持ち込み禁止。
違法に情報を取得し、外部に販売するようなケースは、犯罪行為として罰せられることになりますが、こちらに悪意がない場合でも、派遣先に重大な損害を及ぼすような場合は、損害賠償を請求されるケースもありますので、十分な注意が必要です。
❷ 個人情報保護
個人情報を取扱う事業者は、個人情報保護法によって厳しい義務が課せられています。- ❶ 利用目的を特定し、利用目的の達成に必要な範囲内でのみ個人情報を取り扱うこと
- ❷ 個人データについては安全管理措置を講じ、従業者等を監督すること
- ❸ あらかじめ本人の同意を得なければ第三者に個人データを提供してはならないこと
- ❹ 個人データは利用目的など本人の知り得る状態に置き、本人の求めに応じて開示等を行うこと
- ❺ 苦情の処理に努め、相談体制を整備すること
派遣社員としても、就業中に個人情報に接する可能性がありますので、個人情報保護についても一定の知識をもって、普段から慎重な対応を心がける必要があります。
❸ 職場でのパソコンの取扱い
派遣先で使用するパソコンは、業務のために派遣先から貸与されているものです。その取扱いについては、次の点に注意しましょう。-
職場でのパソコン取扱いの原則
- ❶ 業務に関係ないインターネットの閲覧や私用メールの送受信、掲示板・ツイッターへの書き込みなどは行わない。
- ❷ 与えられたIDやパスワードは、ルールに従って第三者に知られないように管理する。
- ❸ 送信元が不明なメールなど不審なメールは、コンピュータウィルスが入っている場合があるので、開かずに管理者に相談する。
- ❹ 許可無く、ソフトウェアをダウンロードしたり、インストールしない。
- ❺ 業務上指示のない情報のコピー、加工、印刷はしない。
- ❻ 派遣先のパソコンに、自分のパソコンや個人のUSBなど記憶媒体を、許可無く接続しない。
- ❼ 仕事中に一時席を離れるときは、他の人が見たり、使用したりしないように、パスワードで保護されたスクリーンセーバーを起動する等の対策を講じる。
