❶ 雇用主は派遣会社

A9R11e7ovh_qb6v8m_7pw 派遣労働は、実際に就労する派遣先でなく、派遣元と労働契約を結ぶ働き方です。したがって、雇用主は、派遣先ではなく、派遣元の派遣会社です。

❷ 派遣社員の法令上の責任は派遣元と派遣先が分担します

A9Ro48jh9_1othiaf_3dw 派遣元は、派遣社員と労働契約を結ぶ主体となりますので、雇用主としての責任は主として派遣元が負うことになりますが、一部は派遣先が分担して、派遣社員に対する責任を果たします。派遣労働は雇用者と指揮命令を行う者が分離する雇用形態ですので、労働基準法や労働安全衛生法などの適用も、派遣元が主となり派遣先が一部を分担して責任を果たします。

❸ 労働契約の終了にはルールがあります

A9R1cxluok_1othiah_3dw 労働契約の終了については、労働者と使用者の合意によって労働契約を解約する「合意解約」のほか、労働者からの一方的意思表示により解約する「退職」と、使用者からの一方的意思表示により解約する「解雇」があります。「退職」と「解雇」については次のようなルールがあり、派遣社員と派遣元との間の労働契約についても適用されます。

(1)退職

期間の定めのない労働契約を締結している労働者は、2週間の予告期間をおけば、申出によりいつでも退職することができます(就業規則に退職手続が定められている場合はそれに従って退職の申出をする必要があります)。一方、期間の定めのある労働契約(有期労働契約)を締結している労働者(有期契約労働者)は、契約期間中はやむを得ない事情がない限り、途中で退職することは契約違反となり、損害賠償を求められる場合があります。

(2)解雇

労働基準法等において、業務上の傷病による休業期間及びその後30日間の解雇等、一定の場合使用者が解雇することは禁止されています。これに該当しない解雇であっても、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利を濫用したものとして無効となります。
有期契約労働者については、契約期間中はやむを得ない事情がない限り、使用者は途中で解雇することはできません。また、有期労働契約の更新の拒否(雇止め)についても、実質的に期間の定めのない契約と異ならないといえる場合や、雇用継続への合理的期待が認められる場合には、解雇と同様に客観的・合理的な理由が必要です。
なお、たとえ解雇が有効であっても、使用者が解雇を行う場合、30日以上前に予告しなければなりません。30日以上前に予告しない場合は、解雇までの日数に応じた日数分の平均賃金を支払わなければなりません。

(注)派遣元は、派遣先と締結した派遣契約の終了のみを理由として、派遣社員を解雇してはならないこととされています。

❹ 契約の途中解除

派遣元と派遣先が結ぶ「派遣契約」と派遣元と派遣社員が結ぶ「労働契約」は別の契約ですので、派遣契約が契約期間の途中で解除されても、労働契約は引き続き有効で、労働契約の期間中は、派遣会社が他の仕事を斡旋するか、所定の休業手当を支払う等の義務が生じます。
また、派遣社員にとっても、有期の労働契約を結んでいる場合は、やむを得ない理由がある場合を除いて、一方的な退職をすると契約違反となり、損害賠償を求められる場合があります。
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❺ 派遣で禁止されていること

(1)労働者派遣の禁止業務

建設業務、港湾運送業務、警備業務、医療関係業務(一部を除く)は派遣が禁止されています。

(2)事前面接の禁止

派遣先となる会社が、派遣社員を指名することはできません。派遣開始前に面接を行うこと、履歴書を送付することは禁止されています(紹介予定派遣の場合や本人が希望して、派遣先として適当であるかどうかを確認するため、事業所訪問や履歴書の送付を行うことは認められています)。

(3)元の勤務先への派遣の禁止

正社員・契約社員・アルバイトなどとして前に働いていた会社では、離職後1年間は派遣社員として働くことはできません。

❻ 派遣で働く前

(1)マージン率や教育訓練などの確認

派遣会社のマージン(派遣料金から派遣社員に支払う賃金を差し引いたもので、福利厚生費・教育研修費を含む)率や教育研修への取組状況は情報提供することとされていますので、各派遣会社のホームページ等で確認できます。

(2)賃金見込額などの確認

派遣会社と労働契約を結ぶ前に、❶ 賃金の見込額などの待遇に関する事項、❷ 派遣会社の事業運営に関する事項、❸ 労働者派遣制度の概要について説明があります。

❼ 派遣で働くとき

(1)労働条件、派遣料金額、就業条件の明示

労働契約を結ぶときには、派遣会社から労働条件の明示があります。派遣就業を開始するときには、派遣料金額が明示されるとともに、この就業が派遣労働であることや派遣社員が従事する業務の内容、派遣先の名称・所在地、派遣先の派遣受入期間の制限の抵触日など派遣労働に係る就業条件等が明示されます。

(2)年次有給休暇、育児休業の取得

A9Rujvtvl_1othial_3dw 派遣労働には、正社員など他の働き方と同様に、労働基準法や男女雇用機会均等法等の労働関係法令の適用があります。これらの法律の責務は、派遣元と派遣先で分担しますが、年次有給休暇や育児休業の付与は、派遣会社の責務となります。

(3)期間制限

派遣先事業所単位の期間制限と派遣労働者個人単位の期間制限があります。派遣先の同一の事業所に対し派遣できる期間(派遣可能期間)は、原則、3年が限度です(派遣先が事業所の過半数労働組合などから意見を聴いた場合は、3年を超えて派遣を受け入れることが可能です)。
また、同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位(いわゆる「課」などを想定)に対し派遣できる期間は、3年が限度です。

(4)トラブル処理

派遣労働に関して何かトラブルが起こったら、派遣元と派遣先のそれぞれに相談を受ける責任者が配置されていますので、この責任者(就業条件明示書に記載されている派遣元責任者・派遣先責任者)に相談してください。

❽ 雇用の安定とキャリアアップ措置

(1)雇用安定措置

同一の組織単位(いわゆる「課」などを想定)に継続して3年間派遣される見込みがある派遣労働者が継続して就業することを希望する場合、派遣元は以下の措置を義務付けられています(1年以上3年未満の見込みの方については、努力義務となります)。
  • ❶ 派遣先へ直接雇用の依頼
  • ❷ 新たな派遣先の提供(合理的なものに限る)
  • ❸ 派遣元での(派遣労働者以外としての)無期雇用
  • ❹ その他安定した雇用の継続を図るための措置(雇用を維持したままの教育訓練、紹介予定派遣など)
3年間派遣される見込みのある派遣労働者に、雇用安定措置として❶ を講じた場合で、直接雇用に至らなかった場合には、別途❷ ~❹ の措置が求められます。

(2)キャリアアップ措置

全ての派遣労働者は派遣元から教育訓練やキャリアコンサルティング(希望する場合)を受けることができます。特に、期間を定めないで雇用されている派遣労働者については、長期的なキャリア形成を視野に入れた教育訓練を受けることができます。

❾ 労働契約申込みみなし制度

派遣先が以下の違法な派遣を受け入れた場合、その時点で、派遣先から、派遣元との労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約が申し込まれたものとみなされます。派遣労働者が承諾をした時点で労働契約が成立します(派遣先が違法な派遣に該当することを知らず、かつ、知らなかったことに過失がなかったときを除きます)。
  • ❶ 労働者派遣の禁止業務に従事させた場合
  • ❷ 無許可の事業主から労働者派遣を受け入れた場合
  • ❸ 事業所単位または個人単位の期間制限に違反して労働者派遣を受け入れた場合
  • ❹ いわゆる偽装請負(労働者派遣法等の規定の適用を免れる目的で、請負やその他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、必要とされる事項を定めずに労働者派遣を受けること)の場合
(※)本制度は、平成24年労働者派遣改正法に基づき平成27年10月1日から施行されました。平成27年労働者派遣法改正法の施行日(平成27年9月30日)時点より前に締結された派遣契約により行われている労働者派遣については、改正前の期間制限が適用され、改正前の法律に基づく労働契約申込み義務の対象となり、労働契約申込みみなし制度の対象とはなりません。

❿ 紹介予定派遣

派遣会社が職業紹介事業の許可を受けている場合は、6か月以内の労働者派遣の期間を経て、直接雇用に移行する紹介予定派遣の制度を利用できます。直接雇用に結びつく可能性も高く、正社員を目指す有効な手段ですので、検討してみてください。